未上場会社の増資

未上場会社の増資

ご相談を受けた事例から注意すべき点をお知らせします。

資本金を増額する(=増資)ことについての注意点です。

未上場会社が新株発行による増資を行う場合、1株を幾らで発行するかが税務上の問題を生じさせることがあります。

既存の株主に対して、その持株数に応じて平等に新株を割当て、資本金相当額を払い込むなら問題はありません。
これを特定の株主だけ、または特定の株主に多く、もしくは第三者に新株を割当て、時価より安く払い込む場合に問題が生じます。
株式の時価の計算については省略します。

時価発行増資であれば、増資前と増資後で1株当りの株式時価に異動はありません。
時価でない増資ですと、増資前と増資後で1株当りの株式時価に異動が生じます。
時価でない増資、いわゆる額面増資が問題なのです。
(現在会社法で額面という言葉はなく、1株当り資本金額と表記されますが、ここでは額面と表現します)

額面増資の場合、新株を引き受ける人は安く新株を入手することになります。
増資後の1株当り時価は、増資前より下がります。

ここにおいて、新株を引き受ける人には、旧株主からの利益移転が生じることになります。
すなわち贈与です。
個人が新株を引き受ける場合、金額によっては贈与税申告と納付が必要となります。

なお、増資には新株代金を払い込む方法の他に、利益剰余金(過去の利益の蓄積)を資本金に組み入れる方法もあります。
この場合には、組み入れ額は会社からの配当とみなされ、課税関係が生じます。

このように増資の税務は難しいので、増資を行う際は、株価に強い税理士にご相談されることをおすすめします。

※個人の相続対策及び遺産整理について、東京都文京区本郷の谷澤税理士事務所では積極的に対応しております。
是非、ご相談下さい。

2012年5月31日