先日、某医療法人の社員総会に出席しました。
そこで今日は医療法人制度の一部についてお話しします。
社員総会は株式会社でいう株主総会、最高の意思決定機関です。
ただ、株式会社と相違する点があります。
1)出資の保有
医療法人の社員(社団の構成員)は社員総会で入社を認められた者が社員です。
定款に定めのない限り、出資は必ずしも必要としません。
株式会社は出資たる株式を持っている人が株主総会に出席できます。
社員は社員総会で認められた者なので、事実上の世襲制は可能です。
2)多数決原理
決議事項は多数決原理です。
医療法人では社員1名が1議決権(=1票)を持ちます。ここにおいて出資の多寡は関係ありません。
株式会社は所有する株式数が多いほど多くの議決権を持ちます。
3)監事(監査役)の選任
医療法人の監事は理事(株式会社でいう取締役)の中の互選です。
一旦社員総会で理事として選任され、その後の理事会で監事を理事の中から選任します。
株式会社の監査役は取締役の選任とは別です。
このような法制度下、殆どの医療法人の社員は血縁で占められていますが、時として利害対立もあります。
社員数が増えると時には収拾をはかれなくなります。
また、社員に相続が発生、その相続人が入社すると血縁が薄れ、これも利害対立を招く原因です。
更に社員総会は出資の多寡と議決権数は別物なので、多額の相続税を支払って出資を相続しても、時として経営を牛耳れないこともあります。
医療法人の出資の流動性(他人が買ってくれるかということです)は未上場株式よりも遥か劣ります。
医療法の規定で配当も出ないので、後継者以外は出資を相続する必要性はかなり薄いものです。
医療法人が出資を買取る方法もありますが、税法上の問題もあります。
医療法人の相続税と法人経営のための相続対策、長い年月をかけて対策をとる必要性があることをご理解下さい。
※個人の相続対策及び遺産整理について、東京都文京区本郷の谷澤税理士事務所では積極的に対応しております。
是非、ご相談下さい。
2012年5月29日