こんにちは、東京都文京区本郷三丁目の税理士・谷澤です。
相続税や贈与税申告における建物の評価についてのお話です。
建物評価は固定資産税の評価額を基本とするよう財産評価通達に定められています。
現在お引き受けしている案件で、どう見ても固定資産税の評価額は過大である物件があります。
そこで不動産鑑定士による鑑定評価ができないものか、検討しました。
財産評価通達によりがたいものは、別途評価できる旨が財産評価通達に定められています。
土地については路線価でなく、不動産鑑定士による鑑定評価の相続税申告を行ったことがあります。
税務署はその鑑定評価を認めました。
それなら、建物もOKでは?という考えが浮かびました。
これを私が所属する資産税勉強グループのとある税理士に相談しました。
丁度その税理士、相続税申告で建物を固定資産税の評価額でない評価で申告したそうです。
どう見ても無価値なので、ゼロ評価で申告したとのことです。
そして税務調査、税務署はその評価を否認、固定資産税の評価額を申し渡したそうです。
税務署の主張は、固定資産税評価額は1つの公正なる評価額であること、
仮にその評価が誤っているなら、固定資産税評価額を減額申請すべきであるということです。
ここから私見です。
確かに固定資産税評価額は、1つの公正なる評価額です。
相続税等の申告において建物をいちいち不動産鑑定士の鑑定評価を付していたら、納税者の費用がかさむばかりです。
ただ、この固定資産税の評価額、全ての物件を内部まで立ち入って精査はしておりません。
登記情報などから一定の計算式で計算しているに過ぎません。
個別の事、例えば雨漏りがする等の事情があっても、固定資産税評価額には反映されません。
固定資産税評価額はそうであっても、相続税等の申告においては、その個別事情をくみ取るべきと思います。
これを言い出すと、財産評価通達では、腑に落ちないものだらけとなります。
何でもかんでも個別事情をくんでいれば、税務行政が混乱するばかり、税務署の言い分も理解できなくはありません。
件の建物評価、不服申し立てに入るそうです。
相談いたしました税理士を応援したく思います。
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2015年8月5日