こんにちは、東京都文京区本郷三丁目駅徒歩4分の谷澤佳彦税理士事務所です。
11月26日の経済新聞によりますと、相続による不動産登記を義務付ける不動産登記法改正原案がわかったようです。
概要は
・相続登記義務化
・相続開始から10年以内に相続登記しない場合は、法定相続分で遺産分割が確定
・土地所有者の放棄(国が引き受け)が可能
となっています。
相続税申告をお引き受けしていると、土地で誰も相続したがらないものを見受けます。
昔から所有する山林、耕作できない農地、昭和の別荘ブームに乗って購入した未利用の別荘用地などです。
遠方にある山林や別荘用地は、その場所さえ相続人が知らないことがあります。
いえ、まだ存在を知っているだけマシかもしれません。
相続人が存在を知らない土地もあるのです。
さすがに事務所のある文京区ではそのお話は伺いませんが、地方ではまだまだ存在します。
私の事例ですが、平成5年と6年に二度の相続を経験しました。
その後、毎年のように不動産を新たに発見しました。
地元の人と数十名の共有の溜池や境内地、3世代前の農地(現況は公衆用道路)などです。
かなり不動産を把握したつもりだったのですが、溜池は遺品の整理のときに見つけました。
境内地は地元のご年配の方から教えられました。
農地は国土調査で判明しました。
このように相続人が存在を知らないことがあるのが土地です。
相続手続の義務化は所有者不明地を新たに発生させない有効策かと思います。
しかし、相続人が存在を知らない土地に対して、国が相続人に通知してくれるとは思えません。
所在不明地が相続開始10年で法定相続分で所有者を確定させると、日本全国に共有地が多数発生します。
共有地は所有者相互の利害が相反し、処分方法が決まらないことがあります。
これに対する国の対策が見えません。
一方、土地所有権を放棄できる制度も併設されるようです。
法定相続分で所有者が確定した土地やその他不要な土地を放棄すれば、不要な土地を引き受けずに済みます。
ただ、次の問題として小さな国有地が日本全国に点在する結果を招くのではないでしょうか。
管理コストが膨大になりかねません。
所有者不明土地対策として不動産登記法を改正するのはいいのですが、その後の課題も多数ありそうです。
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2019年12月3日