よく知られた無税贈与の方法に関する注意点をお知らせします。
婚姻歴20年以上の配偶者に居住用財産を贈与した場合、2,110万円まで無税贈与できます。
ここでいう居住用財産は、住宅そのものの贈与、もしくは住宅購入資金をいいます。
住宅そのものは持分贈与でもOKです。
一般的な相続税対策の第一歩です。
さて、先般ご相談いただきました事例をご紹介いたします。
相談者ご自身が所有するマンションを売却、その売却代金をもって新マンションの購入に充てたいとのことでした。
新マンションの購入が先ですが、事情あってご相談者は住宅ローンを組めません。
そこでやむなく配偶者名義でマンションを購入、ローンを組み、まずそこに転居します。
その後、旧マンションを売却し、その売却代金をもって配偶者のローン返済に充当できないかということです。
もちろん、この方法は可能ですが、税務上大きな問題があります。
配偶者のローンを代位弁済するということで、夫婦といえども贈与であり、贈与税納付の問題が生じます。
ご相談いただいた方は、これに標題の配偶者への居住用財産贈与特例を利用したいとのご意向でした。
結論、特例の対象外です。
既に記載しましたように、本特例は住宅そのものの贈与、または住宅取得資金の贈与が対象です。
今回のご相談は、「住宅ローンの返済資金」の贈与であり、対象外となるのです。
資金贈与の場合、?資金贈与 ?その資金をもって住宅を購入 の順番が必要です。
先に住宅を購入してしまうと、住宅取得資金を贈与したことにはなりません。
ご注意下さい。
今回の件、夫婦でローンを負いたくないとのこと、別の方法をアドバイスいたしました。
※相続、相続に係わる名義書換のご相談は、東京都文京区本郷の谷澤税理士事務所までご連絡下さい。
2012年3月21日