こんにちは、東京都文京区本郷三丁目駅徒歩4分の谷澤佳彦税理士事務所です。
今日のお話は現在お引き受けしている相続税申告に関することです。
税法の相続財産概念の中に「配当期待権」という財産があります。
株式などの配当金で、相続前に配当金を受領していないものの、配当金を受領する権利を持って亡くなった場合に課される財産です。
例えば3月決算の株式上場法人、通常株主総会は6月に開催され、6月下旬に順次配当金が支払われます。
このような株式を所有する方が5月に亡くなったとしましょう。
配当金は相続前に受領していません。
しかし配当金は3月末時点の株主が受領する権利があります。
金額が確定せず、配当金を受領する権利を残して亡くなったと税務では考えます。
権利の評価額は、後程株主総会で可決する配当金額から所得税等の天引額を控除します。
この配当金、原則は配当金額から配当金の20.315%相当の所得税等が天引されて支払われます。
ただし、その株式がNISA制度を利用して取得していたなら、所得税等の課税対象外となり、所得税等の天引はありません。
NISA配当金、相続税ではどう評価するのでしょうか?
財産評価通達では何も触れていませんので、通達通りですと、所得税等が天引されたものとして評価します。
実はこのNISA、申請した本人のみが恩典を受けることができ、相続人にはNISA特例が引き継がれません。
相続を知らせずにNISA配当金を受領しても、後の相続手続の後、改めて所得税等が天引されます。
すなわち、最終的に相続人の手元に残るのは、所得税等20.315%が天引されたものと変わらないのです。
従ってNISA摘要の配当期待権、非NISA配当期待権と同じ評価となります。
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2020年10月27日