こんにちは、東京都文京区本郷三丁目駅徒歩4分の谷澤佳彦税理士事務所です。
平成30年度税制改正要望事項その3です。
経済産業省から出ている要望の1つの事業承継税制見直しについてのお話です。
一定の中小企業の株式等の相続・贈与については、相続税または贈与税の納税猶予制度を選択可能です。
納税は猶予であり、免除ではありません。
一定の条件に達した場合、納税猶予は取り消され、納税となります。
それも利子税(要するに利息)が付加される制度です。
事業承継税制、適用要件の詳細は省略しますが、適用の大きな障害に「従業員の雇用要件」という要件があります。
簡単にいうと、本制度適用後5年間、従業員は適用直前の8割以上を維持しなければなりません。
景気のいいときはいいのですが、景気が悪くなった時には困ることがあります。
リストラをして会社の規模を縮小しようとしても、相続税等の納税猶予取消を考えるとリストラができないことがあります。
事実、相続税等の納税猶予を継続するため、従業員を雇用したまま、本業は赤字という会社が存在します。
本業が赤字継続では会社が成り立たなくなる方向に向かい、かといって、納税猶予が取消となると猶予された税金は支払えず、身動きがとれないのです。
今回の税制改正要望では、雇用要件をはじめとして「あらゆる要件を見直すことを含め、事業承継税制を抜本的に拡充する」ことを要望しています。
雇用要件以外では、対象となる発行済株式総数の上限(現行2/3)や対象者の見直しが挙がっています。
本制度、経営承継円滑化法とセットになっているところがあるため、税法だけでは対応が困難な箇所もあります。
日本の経済を支える労働者の過半数が中小企業勤務であるという実態、今後も日本経済を支え続けるため、使いやすい事業承継税制への改正を望みます。
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2017年9月6日